2005年10月30日

シュテーリヒ/西洋科学史 V:目次

西洋科学史5『西洋科学史』(全5分冊)の第五巻(最終巻)。副題は「歴史と人間・ドイツ歴史学派の興隆と精神分析学」。









第一二章 精神と歴史―― 一九世紀の精神科学
一 ヘーゲルと歴史
 a 精神の力
 b 世界過程とその序階
 c 精神の自己展開としての歴史――弁証法の原理
 d 歴史の担い手としての世界史的民族
 e 超個人的な力
二 ヘーゲルの精神科学
三 歴史学派の統一
 a 文献批判
 b 歴史の理解
 c 民族精神
 d ヘーゲルと歴史学派
 I 歴 史
  一 ニーブール
  二 ランケ
   a 弁証法
   b 歴史主義
   c 方法論の特徴
   d ラテン・ゲルマン民族
   e 客観性
   f 静寂主義
  三 ドロイゼン
  四 モムゼン
  五 一九世紀の歴史学に反映した当代の二大事件
   a フランス革命
   b 民族運動
  六 文化史
   a ブルクハルト
   b ランプレヒト
  七 普遍的意義における歴史
   a ショーペンハウアーとニーチェ
   b 歴史主義
 II 法律
  一 序幕――フーゴーとティボー
  二 歴史法学派の創設者としてのサヴィニー
   a いかにして法は成立するか
   b 立法と法律学にかんする結論
  三 他の学派の展開の概観
   a 他の諸科学への反映
   b ローマ法学者とゲルマン法学者
   c ローマ法学者――プフタ、ヴィントシャイト
   d ゲルマン法学者――アイヒルホン、ヤーコプ・グリム
  四 イェーリングと実証主義への傾向
   a キルヒマンの攻撃
   b イェーリングの出発点――ゲルバー
   c イェーリングの転向
  五 オットー・フォン・ギールケと民法法典
   a 法典編さんへの道
   b ギールケの批判
   c 展 望
 III 経 済
  一 古典学派への最初の運動――初期の社会主義とリスト
   a シスモンディ
   b サン・シモンとその学派
   c オーエン、フリエ〔フーリエ〕、ブラン
   d プルドン〔プルードン〕
   e フリードリヒ・リストと国民経済学説
  二 古典理論の補訂――その極地と転機
   a ドイツ――テューネン
   b フランス――バスティア
   c イギリス――ミル
  三 世紀後半の逆流――歴史学派と後期の社会主義
   a 国民経済学派における歴史学派
   b 国家社会主義と講壇社会主義
   c マルクス主義
  四 限界効用学派――理論改新の一例
   a 限界効用学派の代表者たち――方法論論争
   b 限界効用学派の基本思想
   c 数理学派
 IV 社会学
  一 コントと実証主義
   a 社会学という名――その本質、主要分野、諸科学中の位置
   b 三段階法則と社会の進歩
   c 実証主義哲学。宗教としての実証主義。科学原理としての実証主義
   d コント以後のフランス社会学について
  二 スペンサーと進化思想
   a 進化思想
   b 有機体としての社会
   c 国家と個人
   d ホブハウス
  三 一九世紀のドイツ社会学
   a 開拓者
   b テンニエス〔テンニース〕
   c ジンメル
  四 一九世紀のアメリカ社会学者
   a モーガン、サムナー
   b ウォード
   c スモール、ギッティングス
 V 言 語
  一 古典文献学
   a F.A.ヴォルフ
   b ベック
   c 原典批判――ヘルマン、ベッカー、ラハマン
   d ヴィラモーヴィッツ
  二 比較言語学の成立
   a サンスクリット語――フリードリヒ・シュレーゲル
   b ラスク
   c グリム
   d ボップ
   e ヴィルヘルム・フォン・フンボルト
   f シュライハー
 VI 心理学
  一 回顧
  二 ヘルバルト
  三 生理学的基礎に立つ実験心理学の発端
   a ヴェーバー
   b フェヒナー
   c ロッツェ
   d へーリング
  四 ヴント
  五 エビングハウス
  六 ブレンターノとシュトゥンプ
  七 キュルベとヴュルツブルク学派
  八 ウィリアム・ジェームズ
   a アメリカの舞台――人と著作
   b 意識と流れ
   c ジェームズ = ランゲの説
   d 宗教的経験
   e 教師としてのジェームズ
  九 精神病学の瞥見
  一〇 二つの新理論の展望
   a 行動主義心理学
   b ゲシュタルト心理学
  一一 深層心理学の展望
   a アンナ・Oの症例
   b 分析的方法
   c 性 欲
   d 失錯と夢
   e 無意識――抑圧と抗争
   f 補説――思想的系譜
   g 影響と応用
   h 精神分析の運動
  一二 二、三の応用と成果にかんする展望

結 び


参考文献
 1 自然科学史一般
 2 辞典・年表
 3 数 学
 4 物理学
 5 天文学・地学
 6 化 学
 7 生物学
 8 医 学
 9 精神科学
解説――二〇世紀の生物学を中心に
総索引
 文献索引<自然科学編>
 文献索引<精神科学編>
 人名索引

(注)付録の参考文献と総索引の小見出しは、参考までに私が付したもの。なお、五巻の付録の内容は、四巻までに付されている総目次のものとは若干内容が異なる。

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シュテーリヒ/西洋科学史 IV:目次

西洋科学史4『西洋科学史』(全5分冊)の第四巻。副題は「科学の大転回・物理学的世界像の形成と進化思想」。









ところが一九世紀、完結した一世紀としては最後のものであるこの世紀を考察してみると、内容の特徴をすこしでも伝えてくれるような見出しをつけることは、それまでのどの世紀よりも困難になる。……この世紀は、たとえば政治的にみると、高まっていく民族主義とともに排外的愛国主義や帝国主義が見さかいなく成長した時代であるが、別の面からみると、多くの分野で偉大な国際協力がなされた時代ではなかったろうか。恥ずべき社会的抑圧と搾取の時代である一方、独特の社会的進歩がもたらされた、つまり幸福と力を求めて民衆がかつてなかったほど力強く立上った時代ではなかったか。文化、知識、教育がこれまでになく普及した反面、さらに深くみれば浅薄なものになったのではなかったか。理性と進歩に対する一八世紀のいくたの夢と理想が輝かしく実現した反面、まさにこの理想を窒息させようとおびやかした非合理的な反対勢力も、同時にもりあがったのではなかったか。一九世紀は移行と変革の時代、境界や基準の抹殺の時代だった。しかし、私たち自身の時代の混迷(カオス)と比べれば、まだしも堅固な軌道にのり、よく秩序だてられた世界だったのである。(第一一章・序文、強調は原文)



第一一章 進化―― 一九世紀の自然科学
〔序文〕
一 ロマン主義
 a 時代の姿と意識は変転する世界をさし示す
 b 一八世紀の理性思想への抗議としてのロマン主義
 c 静的な啓蒙思想を克服するものとしてのロマン主義
 d 前進する世界、前進する思想、進歩の思想
 e 変化の中の科学と変化についての科学
 f ロマン主義の遺産
二 その他、二、三の一般的特徴
 a 連続性と原子論
 b 応用科学の時代が始まる
 c 科学の組織
 d 一九世紀の偉大さと富
 I 数学
  一 非ユークリッド幾何学
  二 カルル〔カール〕・フリードリヒ・ガウス
  三 数
  四 集 合
  五 方程式
  六 関 数
  七 空 間
  八 不変量
  九 数学史
  一〇 数学と論理学
 II 天文学
  一 惑星系における新発見
   a セレス
   b 海王星
  二 分光器
   a フラウンホーファー
   b ブンゼンとキルヒホフ
   c 天文学上の意義
  三 研究の手段としての写真術
  四 宇宙の構造
   a 星の在庫目録
   b 重要な二、三の測定
   c 星の分類
   d 宇宙像
 III 物理学
  一 熱理論と一般エネルギー論
   a エネルギーの保存
   b マイアー、コルディング、ジュール、ヘルムホルツ
   c エントロピー
  二 気体分子運動論
  三 光と電気
   a 光の波動説の勝利――ヤングとフレネル
   b 電気学の主要進路――ファラデーが登場するまで
   c ファラデー
   d マクスウェル〔マックスウェル〕
   e マクスウェル理論の完備と確証
  四 二、三の応用について
   a 蒸気力と運輸
   b 電力と電灯
   c 電気の通信手段
   e 内燃機関、自動車
 IV 化学
  一 原子と分子
   a プルーストの法則
   b ゲー・リュサックの研究
   c ドールトン〔ドルトン〕の理論
   d アヴォガードロ〔アヴォガドロ〕の規則
   e 経験上の前進
  二 周期系における元素の秩序
   a プラウトの仮説
   b マイアーとメンデレーエフ
  三 物理化学
   a 化学平衡
   b 触 媒
   c 電気分解
  四 有機化学の誕生
   a 有機分析――リービヒ〔リービッヒ〕
   b 有機合成――ヴェーラー
  五 ケークレ
   a 原子価
   b 原子鎖
   c ベンゼン環
   d 構 造
  六 パストゥール〔パスツール〕、ファント・ホフ、ル・ベル
  七 応用と成果
   a 染 料
   b 医 薬
   c 爆 薬
   d 栄 養
   e 新物質
 V 地 球
  一 アレクサンダー・フォン・フンボルト
  二 ライエル
  三 リッターとラッツェル
  四 発見の新時代
   a バルト
   b ナハティガル
   c リヴィングストン〔リビングストン〕とスタンリ
   d 極地探検
   e アジア
 VI 生 命
  一 発生学
  二 細 胞
  三 生理学
  四 進化――ダーウィン
   a 種の起源
   b 人類の由来
   c 意義と影響
  五 ダーウィン思想の普及と採用
  六 遺 伝
   a ヴァイスマン
   b メンデル
   c モーガン
   d 遺伝学の意義について
  七 機械論と生気論
 VII 医 学
  一 診療上の新利器
  二 苦痛の征服
  三 微生物の狩人たち
   a パストゥール
   b コッホ
   c ルーとベーリング
   d エールリヒ
  四 消毒と殺菌
   a ゼンメルヴァイスとホームズ
   b リスターとベルクマ
   c しろうと医師――自然療法
   d 概観――科学的衛生学
 VIII 物理学の革命
  一 エックス線
  二 放射能
  三 電 子
  四 原子崩壊としての放射能
  五 量子論
  六 特殊相対性理論
   a マイケルソン = モーリの実験
   b 古典的相対性理論とアインシュタインの相対性理論
   c この原理からの二、三の結論
   d 相対性理論の未来


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シュテーリヒ/西洋科学史 III:目次

西洋科学史3『西洋科学史』(全5分冊)の第三巻。副題は「理性の時代・数学的世界像の形成と啓蒙主義」。









一七世紀には、新しい数学的・力学的認識理想が的確に定式づけられ、それが知識の全分野に徐々に広がっていった。一八世紀は“自然と理性”というモットーのもとに考察できる。もちろんこれらの概念はほかならぬ一八世紀がそれに与えてくれた一回かぎりのニュアンスと状況をふまえた上で捉えねばならない。一九世紀には、一八世紀にもすでに準備されていた進化思想が、生物化学と精神諸科学で爆発した。(第九章・序文)

ところが〔数学の意義を認めなかったフランシス・ベーコンに対し〕一六、一七世紀の人たちは、まさにこの数学を、実験より重要だと思っていたとさえいってよいほどであった。ガリレオの次の言葉を聞こう。

無知こそ、私がこれまでに身につけたものの中で最上の教師だった。というのは、自己の推論が真であることを反対者に実証してみせる立場に立つために、それを一連の実験によって証明するよう強いられたからである。私自身を満足させるために、たくさんの実験をやることが不可欠と感じたことなど、一度もなかったのにもかかわらずである。

ガリレオのこの言葉から、実験は本来真理を発見するためというより、むしろ示してみせ、証明するために必要なのだ、という確信が読みとれる。この考えからすれば、正しい方法で武装してさえいれば実験などしなくても自然の諸法則は発見できるはずだ、ということになる。これは、新しい認識理想のきわ立った特徴であった。自然を数学的に解釈せねばならないという確信を、研究者は、実験によって初めて教えられたとか、強いられたのではなかった。この確信――信仰ともいえそうだが――がすでに、実験することの前提となっていたのである!(第九章・一 新しい認識理想)

一八世紀の思想の標語として“自然”と“理性”をもちだすのは、何も新しいことではない。だが、これらの概念があいまいでいろいろな意味をもつことを考えると、一八世紀がこの語をどんな意味に理解していたかをもう少しくわしく見なければなるまい。…

たとえば今日、石は“自然物”であるというとき、“自然”という概念の第一の意味は“生きていないもの、あるいは人間の外にあるもの”の世界ということになるが、このような現代流の理解は許されない。まさにその逆であり、一八世紀の自然概念の特徴は生物どころか人間まで、肉体と精神の両面をあわせ包括してしまう点にある。(第一〇章・一 自 然、以上、強調は原文、斜体は原文中の引用文)


第九章 普遍数学―― 一七世紀の科学
〔序文〕
一 新しい認識理想
二 新しい認識問題
 I 数学
  一 射影幾何学と解析幾何学――フェルマ、パスカル、デザルク、デカルト
  二 無限小解析(微積分方)
   a 準 備
   b ニュートン
 II 天文学
  一 観察と計測の天文学
  二 レーマーが光速度を測る
  三 デカルトの渦動説
 III 物理学と化学
  一 万有引力――ニュートン
   a ニュートンの生涯と仕事
   b 『プリンキピア』
   c 評価と批判
  二 光学
   a ケプラー、スネル、デカルト、グリマルディ
   b ニュートン
   c ホイヘンス
  三 ガス
   a トリチェリとパスカル
   b オットー・フォン・ゲーリケ
   c ボイル
  四 物質の構造
  五 ボイル――科学的化学の初め
 IV 生物学=顕微鏡家たち
  一 フック
  二 レーウェンフック
  三 スヴァンメルダム
  四 マルピーギ
 V 医学
  一 イアトロ物理学とイアトロ化学
  二 ハーヴィ〔ハーヴェイ〕
  三 シデナム
  四 医者の地位
 VI 地理学
  一 発 見
  二 地理学理論
 VII 精神諸科学
  一 人間の科学という理想
   a ホッブズ
   b ロック
  二 歴史記述
   a フランス
   b ライプニツ〔ライプニッツ〕とムラトーリ
  三 法 学
   a 自然法の理念
   b オルデンドルプ、アルトゥスジウス
   c グロティウス
   d コーンリング、プーフェンドルフ、トマジウス

第一〇章 自然と理性―― 一八世紀の科学
一 自 然
二 自然的なものと理性的なものとの同一性
三 宗教・道徳・社会を批判する武器としての自然的なものと理性的なもの
四 宗教上の合理主義
五 倫理的合理主義
六 合理主義に対抗するもの
七 大百科全書
八 メートル法
 I 数学と力学
  一 ベルヌイ家
  二 オイラー、ダランベール、ラグランジュ
  三 モアヴル、ラプラス
 II 天文学
  一 ハリ
  二 ブラッドリ
  三 ハーシェル
  四 カント
  五 ラプラス
 III 物理学
  一 熱学説
   a 熱概念の説明
   b 温度測定
   c 熱の正体――ランフォード
  二 蒸気機関
   a パパン、ニューコメン
   b ウォット(ワット)
   c 工業化の発端
  三 電気
   a 最初の発見
   b フランクリン
   c エピヌス、プリーストリ、キャヴェンディシュ、クーロン
   d ガルヴァーニ
   e ヴォルタ〔ボルタ〕
 IV 化学
  一 シュタールとフロギストン説
  二 ブラック、キャヴェンディシュ、プリーストリ
  三 ペリマンとシェーレ
  四 ラヴォアジェ
   a 生涯と業績
   b 燃焼理論
   c 水の組成
   d 質量の保存
   e 元 素
  五 元素記号
 V 地質学
  一 岩石と山脈
   a ヴェルナー
   b ハットン
  二 化石
   a キュヴィエ
   b ラマルク
 VI 生物学
  一 リンネ
  二 生理学
  三 進化思想の開拓の後継者
   a ビュフォン
   b エラズマズ・ダーウィン
   c ゲーテ
 VII 医学
  一 病理解剖学――モルガーニ
  二 生理学――ハラー
  三 組織学――ビシャ
  四 特殊療法――メスマー、ハーネマン
  五 種痘――ジェンナー
  六 一八世紀の衛生状態
 VIII 地理学
  一 発 見
  二 地理学理論
 IX 歴史
  一 歴史世界の固有法則性と豊かさ――ヴィーコとモンテスキュー
  二 啓蒙主義歴史家の典型――ヴォルテール
  三 進歩の思想――レッシング、コンドルセ
  四 古代史と学術史――ヴィンケンマン
  五 深まった歴史意識と思想史
   a メーザー
   b ヘルダー
 X 法律・政治・経済
  一 ルソー
  二 ベンサム
  三 国家経済学の基礎づけ
   a 簡単な史的回顧
   b 重商主義
   c 重農主義者たち
   d アダム・スミス
   e マルサス
   f リカード


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2005年10月28日

シュテーリヒ/西洋科学史 II:目次

西洋科学史2『西洋科学史』(全5分冊)の第二巻。副題は「保存と復興・中世の秋とルネサンス」。









この時代(中世)は“暗黒”であり、相対的に重要でない、と片づけられてしまっていることも多い。また、これよりましであるにしても、多くの分野であげられた科学的収穫はちらほらと散在する“木洩れ陽”であるとされることも少なくない。これはとんでもないことである。むしろ私たちは、つとめてこの時代が占めている中心的位置と重要な機能とを理解しなくてはならない。この時代の初期には、新文化の基盤が、何世紀間にもわたって発展しつつ作られていった。第二期には、地中海世界に保たれていた科学的伝統が…この新文化区域に流れ込んだ。(第七章・一 科学史上の中世の位置)

科学史にとってこの時期(ルネサンス)は、完全に新しい時代への序曲である。知識や探求のどの分野でもほとんど軒なみに、新しい活動が生じてくる。それ以後の数世紀にいっそうはば広く実行に移され成就されていくべき題目が、ほとんど全部一通りでそろった。この時代の科学的活動と発見は、その後の科学の発展全体に勢いと方向とを与えた。(第八章・序文)


第七章 保存と潜在――西欧中世の科学
一 科学史上の中世の位置
二 阻害する力
三 保護と促進の力
四 イスラム世界との接触、反訳時代
五 大学の開花
六 中世の認識理想
 I 数学と天文学
  一 西欧数学の誕生――ピサのレオナルドとヨルダヌス
  二 オレスメのニコラウス
 II 物理学と化学
  一 ヨルダヌス
  二 ベトルス・ペレグリヌス
  三 ロージャ・ベーコン〔ロジャー・ベーコン〕
   a 生涯と活動
   b 『大著作』
   c 評 価
  四 化学
 III 生物学
  一 生物学一般、自然学者と動物寓話、ビンゲンのヒルデガルト
  二 フリードリヒII世
  三 アルベルトゥス・マグヌス
  四 メーゲンベルクのコンラート
 IV 地理学
  一 巡礼と十字軍
  二 ノルマン人、最初のアメリカ発見
  三 ジェノヴァ人とヴェネツィア人の発見、マルコ・ポーロ
  四 地 図
 V 医学
  一 サレルノの学校
  二 ヴィルヌーヴのアルノー、ロージャ・ベーコン〔ロジャー・ベーコン〕
  三 解剖学――モンディノ・デ・ルッチ
  四 流行病と公衆衛生事情
 VI 精神諸科学
  一 キリスト教的歴史観
  二 教会史、年代記
  三 反訳家と文法家、百科全書家
  四 人文主義(ヒューマニズム)の起源
   a ダンテ
   b ペトラルカ
   c ボッカッチョ〔ボッカチオ〕、サルタノ・コルッチョ
  五 法律学
   a ボローニャの法律学校、註解者たち
   b バルトルスとパルドゥス
   c ジョヴァンニ・デ・レニャーノ

第八章 大復興――近代科学の開始
〔序文〕
一 宗教的および哲学的背景
二 ルネサンスと宗教改革
三 印刷と書物
四 新精神の具現としてのレオナルド・ダ・ヴィンチ
五 新しい道の告知者――フランシス・ベーコン
 a 人と著作
 b 『新オルガノン』〔『ノヴム・オルガヌム』〕
 c 批判と評価
 I 数学
  一 タルターリャとカルダーノ
  二 ヴィエータ
  三 ネーピアとビュルギ
 II 天文学――新しい宇宙
  一 クサヌス、プールハバ、レギオモンタヌス
  二 コペルニクス
  三 ティコ・ブラーエ
  四 ケプラー
  五 ガリレオ
  六 ブルーノ
  七 グレゴリウスの歴制改正
 III 物理学と化学
  一 ギルバート
  二 ステヴィン
  三 ガリレオ
   a 落体の法則
   b 他の物理学的活動
   c ガリレオの方法、評価
 IV 地理学――発見時代
  一 エンリケ航海王
  二 コロンブス
  三 その後のアメリカ発見
  四 東インドへの航路
  五 マガリャエンシュ(マゼラン)による最初の世界一周
  六 アジアの幕開き
  七 発見の結果
  八 メルカトル
 V 生物学と医学
  一 植物学と動物学
  二 パラケルスス
  三 ヴェサリウス
  四 パ レ
  五 サンクトリウス
 VI 精神諸科学
  一 イタリアの人文主義
   a クリェソロラス、ブルーニ、プレトン
   b ポッジョ、ピオンド、シルヴィウス
   c ヴァラ・フィチーノ
  二 アルプス以北の人文主義
   a ロイヒリン
   b エラスムス
   c メランヒトン
  三 歴史記述
   a イタリア――マキァヴェリとグィッチャルディーニ
   b ドイツ
   c フランス――コミース、ボダン
  四 法律学――ローマ法の継受


(注)〔〕内の語句は参考までに私が付したもの。ただし「ロージャ・ベーコン」の表記は、一般的な表記と思われる「ロジャー・ベーコン」の誤植か、訳者の意図によるものか不明。

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2005年10月26日

シュテーリヒ/西洋科学史I:目次


西洋科学史・Iシュテーリヒ(ハンス・ヨアヒム・シュテーリヒ(1915−))が1954年(昭和29年)に著した主著の一つ『西洋科学史』(原題:Kleine Weltgeschichte der Wissenschaft)の現代教養文庫版(全5分冊)。1958年(昭和33年)に出版された商工出版社版(全3分冊)の再刊(改訂版)である。訳は菅井準一・長野敬・佐藤満彦の各氏による共訳。

「再版訳者まえがき」によると、著書のシュテーリヒは「1915年、ドイツのケンシュテット=ハルツの生まれである。1948年に結婚して、2児がある。フライブルグ・コローニュ、ベルリンなどの諸大学に学び、哲学および法学の学位を得ている。主著は本書(初版1954、改定3版1965)のほか、“Kleine Weltgeschichte der Philosophie”(草薙正夫他訳『世界の思想史』白水社、全2巻)があり、原著は1970年までに11版を重ねている。(略)現在はミュンヘンに住み、著作と、百科全書の編集にたずさわっている」とある。ただしこれは1975年4月現在での情報なので、もし存命ならば今年で90歳のはずであるが、情報不足のため判然としない。

カバーの説明文のとおり、本書は単なる自然科学史にとどまらず、精神科学(注)をも含め、両者を統一した叙述を試みているところに最大の特徴がある。大学の学部生が一般教養として科学史を学ぶのに、まさに打ってつけの内容……なのだが、最大の問題は「本書の入手が極めて難しい」ことにある(これは寄筆一元氏のブログでも言及されていたことだが)。原著(ドイツ語版)は現在でも手に入るようだが、現代教養文庫版以後、日本語版は訳出されていない。ドイツ語が読める方は原著に当たるという方法もあるが、それ以外の人は古本で買うか図書館で読むなどの方法しかない。ちなみに私は、3巻と4巻が余分にあるのを除いては、1セットしか所有していない。絶版にしておくにはあまりにも惜しい内容であり、復刊か新訳を強く望む書籍の一つである。

(注)ここでは認識論など人間の精神活動に関する科学ではなく、「人文科学と社会科学の総称」として用いている。

<科学>を<自然科学>のみに限定せず、<社会科学><人文科学>へも押し拡げて、その生誕と形成の過程を、思想史的・精神史的にも実証しようとする本書は、<科学>の持つ"“混沌(カオス)”のイメージに人々を誘なう。これにより、諸科学相互の連関が、時間・空間のなかで立体的に俯瞰(ふかん)できよう。
(カバー見返し部・紹介文)

弁証法という用語は、ギリシア語のdialektikeに起源を持ち、対話という意味である。古来、ギリシアの哲人たちのめざしたものは、物事に絶対的基準を求めることなく、対話によって永遠に把握不可能な真理へと自らを誘うことにあった。だから、真理とは永劫に解きえない“アキレウスの亀”であり、事物は相対的な真理しか持ちえない。今存在していることも相対的でしかありえない。哲人たちは、陽光ふりそそぐリュケイオンの学園で、あるいはパルテノンの神殿で、把握不可能なイデアの王国へ至る道をさぐっていたのである。(カヴァー説明)

訳者のことば(初版)
再版訳者まえがき
凡例

第一章 科学史の意義
 一 問題
 二 過去への一瞥
 三 今日の世界
 四 主題の最初の区分

第二章 基本概念――方法序論
 I 科学史の方式と観点
  一 素材の歴史と問題の歴史
  二 科学の超国家性
  三 科学の超個人性
  四 科学の未完成性
  五 科学の未統一性
 II 文化全体のなかの科学
  一 科学と社会
  二 科学と宗教
  三 科学と芸術
  四 科学と技術
  五 科学と哲学
  六 秘められた歴史
 III 私たちの記述の様式と方法
  一 ディレッタンティズム
  二 史的思考

第三章 予備条件、発端、あけぼの――史的序章
 I 科学成立の一般的予備条件
  一 自然の予備条件
  二 社会の予備条件
  三 精神的予備条件
  四 総 括
 II ギリシア以前の科学、科学的思考の前ぶれと発端
  一 エジプト
  二 バビロニア
  三 インド
  四 中 国
  五 イスラエル
  六 東方を継ぐ者(総括)

第四章 ギリシア科学の誕生
  一 おもな時代区分
  二 国土・民族・環境
  三 母体としての哲学
  四 哲学、数学、自然科学
 I 数学
  一 タレスとアナクシマンドロス
  二 ピタゴラスと彼の学派
  三 幾何学の“三問題”
  四 プラトンと数学
  五 エウドクソス
  六 メナイクモス
 II 天文学
  一 最古の観念
  二 アナクサゴラス
  三 プラトン
  四 アリストテレス
  五 エウドクソス
  六 ヘラクレイデス
 III 物理学(自然哲学)
  一 普遍的自然法則の理念
  二 ギリシアの自然思想の諸概念
  三 実験の始まり
 IV 生物学
  一 アリストテレス――動物学の父
  二 テオプラストス――植物学の父
 V  ヒポクラテス――医学の父
 VI 歴史記述の父祖たち 
  一 ホメロスとヘシオドス
  二 ヘロドトス
  三 トゥキュディデス

第五章 最初の継承者――ヘレニズムの科学とローマの寄与
  一 時 代
  二 科学の中心地アレクサンドリア
  三 ヘレニズム科学の特質
  四 ローマ人と科学
 I 数 学
  一 ユークリッド(エウクレイデス)
  二 アルキメデス
  三 アレクサンドリアの他の数学者
 II 天文学
  一 アリスタルコス、古代のコペルニクス
  二 ヒッパルコス
  三 プトレマイオス
 III 他の自然科学
  一 光 学
  二 アレクサンドリアのヘロン
  三 錬金術
  四 プリニウス『自然学』
 IV 地理学
  一 フェニキア人とカルタゴ人
  二 地理学の祖たち
  三 ピュテアス
  四 エラストテネス
  五 プトレマイオス
  六 ローマ時代の地理学
 V 医学 
 一 ヘロフィロス
 二 エラシストラトス
 三 ガレノス
 四 古代医学の意義
 VI 精神諸科学
  一 歴史記述
  二 言語学
  三 法律科学

第六章 もう一つの遺産――イスラムの科学
  一 東と西
  二 イスラムの興隆
  三 遺産の同化
  四 二つの中心地
  五 イスラムの宗教と異教哲学
 I 数学
  一 アル=フワーリズミー
  二 ウマル・ハイヤーム
 II 天文学
  一 アル・バッターニー
  二 天文機械
 III物理学と化学
  一 光 学
  二 錬金術
 IV  生物学と医学
  一 植物学
  二 東方の医学:ラーゼスとアヴィケンナ
  三 イスラム東方の医学:アブルカシス、アヴェンゾアル、アヴェロエス
 V 地理学
  一 地理学的視界
  二 大旅行家たち:スライマーン、アル・マスウーディ、アル・イドリースィー、イブン・バットゥータ
  三 地理学、数理地理学、地図
 VI 精神諸科学
  一 歴史記述 
  二 言語学者と百科全書派


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2005年10月14日

郵政民営化と小泉改革の謎

先日11日、200票差という大差で衆議院を通過した郵政民営化法案が、今日の午後にも可決される見通しという(毎日新聞「郵政法案 14日午後の参院本会議で可決、成立へ」)。ほんの3か月前(7/5)には同じ衆議院でわずか5票差で可決された法案が40倍もの大差で通過したという事実は、異様としか言いようがない。

ここまでして成立させようとした「郵政民営化」とは一体何だったのか? ブログ「世に倦む日々」の記事では、衆院選におけるライブドア社長「堀江貴文の行動が郵政民営化の本質を世間に暴露していると言えるはずだ」としてこう続ける。

郵政民営化とは郵政公社を分割して、その株式を民間企業に売却することである。350兆円の金融資産は政府ではなく誰かの手中に入る。兆単位の郵政公社株を買うカネを動かせるのは外資だけだ。公社株売却にあたっては、何社にも分割して売却するだろう。簡保と郵貯の二分割ではなく、郵貯の230兆円が何社にも分割されるに違いない。私の予測では、懼く新規に受け皿会社を何社か作るはずだ。

受け皿会社はハゲタカの姿が前面に出ると国民感情を害するから、表面はあくまで日本企業の体裁を整えるに違いない。ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、メリルリンチ、リップルウッド、サーベラス、プルデンシャル、HSBC、UBSウォーバーグ、これら国際金融メジャーの中の数社が東京三菱銀行やみずほHDや三井住友銀行や野村証券や日本生命と提携して新規に受け皿会社を作るものと予想される。どのような組み合わせになるかは見えないが、匙を加減できるのはブッシュ政権と小泉政権の中枢だろう。その中に堀江貴文のライブドアも入れてもらうのである。(強調は引用者)


有体に言えば、「郵政公社の金融資産350兆円を米国資本に喜んで差し出せるようにしましょう、協力すれば仲間にして差し上げますよ」というのが郵政民営化だというのである。売国行為というのはこういうことを指すのではないのか? 資本家以外で小泉自民党に賛成した国民は、すでに800兆円を越すであろう日本の借金のおよそ半分近くを、アメリカに差し出すのに加担したことになる。
これがどあほう(==)でなくて何なのか。

ここで一言しておくが、「小泉改革」といわれる一連の「改革」は、日本人のための改革などでは断じてない。徹頭徹尾「アメリカのための改革」である。郵政民営化もその一つにすぎない。嘘だと思われる方は、ぜひ在日・米国大使館が公開している文書「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」(仮訳)を読まれるが良い。マスコミではほとんど取り上げられないというこの文書だが、今の日本政府にとって、これを無視した「改革」なぞまずありえないことであろう。
posted by liger-one at 13:28| Comment(4) | TrackBack(1) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月10日

狂暴な共謀罪(==)

現在国会で提出されている法案は郵政民営化法案だけではない。衆議院解散で廃案に追い込まれた法案も次々と再提出されている。その中でも特に問題の法案の一つが、「共謀罪」の創設を含む組織犯罪処罰法の改正案である。

「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」という無駄に長い正式名称を持つこの改正案は、暴力的民主主義とでもいうべき小泉自民党の数の論理で、まともに審議されることもなく国会で成立させられようとしている。しかしそれも、総選挙で国民が自分で自分の首を絞めるようなマネをしたのだから全くやりきれない。いわば有権者の自己責任である。

この改正案に盛り込まれている共謀罪は「現代版・治安維持法」ともいわれ、すでにアメリカではその乱用が問題になっている(<特報>「共謀罪 3度目の国会提出」、東京新聞、10/8朝刊)。この法案が成立した場合、適用次第では会社外で上司の悪口を同僚と言い合っているだけでも、誰かに密告されて共謀罪の適用で逮捕される、ということさえありうるのである。なんとも息苦しい社会ではないか。

東京新聞の10/9朝刊2面、自民党法務部会長の平沢勝英は、「共謀罪の創設は、組織犯罪処罰法改正として行われる。適用対象は、そのまま同法の要件が引き継がれる。具体的には、犯罪を目的とした団体。これまでの同法が適用されたのは、暴力団と詐欺グループぐらい。市民団体や労働組合などの活動に適用されることはない」などと語っているが、近くはマンションでビラを配っただけで逮捕された共産党員の事件を考えても、その信頼性ははなはだ疑問である。

人権を擁護しない「人権擁護」法案といい、障害者を支援しない「障害者自立支援」法案といい、梅雨でもないのにカビの生えた時代に歴史を逆行させようとする自民党の改憲案=現代版「大日本帝国憲法」といい、右翼でもないのに憂国気分にさせられる。
posted by liger-one at 22:19| Comment(2) | TrackBack(1) | 狂暴な共謀罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エディタ生活(2)エディタその2

■OSに付属しているのなら、他のエディタなど特に必要ではないではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしOS標準のエディタは、エディタとしては必要最低限の機能(あるいはそれ以下)しか備えていません。秀丸エディタ(Windows、シェアウェア)やJedit(Mac、同)などのエディタが広く愛用されているのはそのためです。これらのエディタにはメモ帳やSimpleTextなどにはないさまざまな便利な機能があり、中にはQXエディタ(Win、同)やLightWayText(Mac/Winハイブリッド、同)のような、横書き同様の軽快さで縦書きをサポートし、ワープロに迫る印刷機能を備えているものもあります(縦書きは秀丸もVer.5で対応)。シェアウェアばかり挙げましたが、フリーでもTeraPadNoEditor(ともにWin)、mi(旧ミミカキエディット、Mac)のような、初心者でも使いやすいエディタが多数あります。

■参考までに、私は現在、Windowsでは紙2001(仕事では紙copi)、秀丸、QX、NoEditor、LightWayText、TepaEditor(フリー)の6種類、Macではmi、LightWayTextをインストールしています。その中でも公私ともによく使うのは紙とQX、HTMLの修正やGrepの時にはNoEditor、複数のキーワードを手早く強調表示させたい時にはTepaEditorを使用しています。オーソドックスな選び方をするなら秀丸ですが、あらゆる箇所をカスタマイズして使い倒したい、という方にはQXもお勧めです。
posted by liger-one at 15:14| Comment(1) | TrackBack(0) | エディタ生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月08日

エディタ生活(1)エディタ

■ここでいう「エディタ」とはいわゆる「テキストエディタ」のことです。いままで何度かテキストエディタに関する雑感を投稿していますが、どうせなら独立したカテゴリーにしてみようかと思った次第です。なんらかの参考になれば幸いです。

■エディタを知らない人向けに一応簡単に説明しておきますと、テキストエディタとは文書作成、それもテキストファイルの編集・作成に特化したアプリケーションです。OS付属の「メモ帳」(Windows)や「Simple Text」(旧MacOS)、「Text Edit」(MacOSX)はいずれもエディタの一種です。もともとはブログラム入力用のソフトといわれており、ワープロのように文字単位での書式の変更(注)や複雑なレイアウトを組んだ印刷などはできませんが、プログラムサイズが小さいため動作の安定性が高く、軽快に文章を入力できるので、プログラマーから編集者まで、多くの人に愛用されています。Windowsなら「秀丸エディタ」、Macでは「Jedit」シリーズが有名です。

ちなみにこの文章は「紙2001」で編集しています。「紙」はメモソフトと謳われていますが、行番号やルーラーの表示をサポートしている点ではむしろエディタの一種です。

(注)エディタによってはJedit(Mac)など、文字単位での書式設定をサポートしているものもあります。
posted by liger-one at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | エディタ生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月07日

ホッファー/大衆運動:目次


大衆運動「沖仲士(港湾労働者)の哲学者」として知られるエリック・ホッファー(1902-1983)の主著。1961(昭和36)年に高根正昭氏(1931-1981)によって訳出され、当初は『大衆』という題名で紀伊国屋書店より出版されたが、1969(昭和44)年に現在の題名に改題されて再刊された。私自身は古本で手に入れて読んだが、2003(平成15)年にホッファーの他の著作とともに新装版として紀伊国屋より再刊され、容易に手にすることができるようになったのは喜ばしいことである。1960年代も現代も、混迷の時代という点では共通しているからである。「新しい歴史教科書をつくる会」の反動的な大衆運動や、先の衆議院総選挙で小泉自民党が圧勝したことを見るにつけても、本書の持つ有効性は失われていないどころか、ますます学び取る必要性があるように思われるのである。

「忠実な信者」すなわち「狂信的なキリスト教徒、狂信的な回教徒、狂信的な共産主義者、狂信的なナチス党員の間には、明白な相違があるけれども、それにもかかわらず彼らを動かす狂信が一つのものとみなされ、一つのものとして扱かわれるということには間違いはない」(原著者序文)として、大衆運動の持つ共通性――狂信――を主張するホッファーのことばには、反感を覚える読者もあるかと思う。しかし「無自覚ではあるが弁証法的な考えかたがいたるところで美事に展開されているから、気もちを落ちつけてこれを批判的に学びとることはマルクス主義者の義務といってもいいすぎではない。」(「四つの書評」、三浦つとむ『レーニンから疑え』P198)。小泉圧勝の謎を解く鍵を知る上でも、本書は必読の書といえよう。

この書物は、主として大衆運動の活動的、狂信的段階を取り扱かう。この段階は忠実な信者 the true believer ――神聖な大義のためにみずからの生命を犠牲にする覚悟をしている狂信者――によって支配されるので、彼の来歴を辿り、彼の本質の輪郭を描くための試みが行なわれる。この努力を助けるものとして、一つの作業仮説が利用される。欲求不満を持つ者があらゆる大衆運動の初期の支持者の間で支配的であるという事実、そうしてまた彼らがみずから進んで提携するという事実、これらの事実から出発してつぎのことが主張される。すなわち、(1)欲求不満というものは、外部からの改宗を迫る刺激がまったく存在しなくても、それだけで忠実な信者の特色となるものをほとんどすべて生みだすことが可能であり、(2)また回心を効果的に行なわせる技術の基本的な点は、心が欲求不満におちいった人びとだけが持つ傾向と反応とを、飢えつけ固定することにあるのである。(原著者序文より)


原著者序文

第1部
 大衆運動の魅力

 第1章 変化を求める欲望
 第2章 身代りを求める欲望
 第3章 大衆運動間の交流

第2部 潜在的回心者
 第4章 好ましからざる人びとの社会的役割
 第5章 貧困者
  新貧困者
  極貧者
  自由な貧困者
  創造力をもった貧困者
  統一された貧困者
 第6章 不適応者
 第7章 極端な利己主義者
 第8章 無限の機会に直面している野心家
 第9章 少数派
 第10章 退屈している人
 第11章 罪人
 
第3部 共同行動と自己犠牲
 第12章 序説
 第13章 自己犠牲を促進させる要因
  集合的全体との同一視
  虚構
  現在にたいする非難
  「無きに等しい者」
  教義
  狂信
  大衆運動と軍隊
 第14章 統一の動因
  憎悪
  模倣
  説得と強制
  指導
  活動
  疑惑
  統一の効果
第4部 発端から終焉まで
 第15章 言論人
 第16章 狂信者
 第17章 実際的な活動家
 第18章 大衆運動の良否
  活動的段階における魅力と収穫の欠除
  活動的段階の期間を決定する若干の要因
  有用な大衆運動

訳者あとがき

(注)章見出しの下の見出しは、私が本文から付した。
posted by liger-one at 14:21| Comment(1) | TrackBack(0) | 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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