2006年08月13日

日本の新興宗教:目次

1959(昭和34)年に出版された岩波新書の一冊(青版)。副題は「大衆思想運動の歴史と論理」。著者は宗教社会学者の高木宏夫氏。以前も紹介したことのあるこの本には、組織論や規範論など随所に三浦つとむ的な発想や文体が見られるが、本書の出版には三浦が協力している。そのいきさつに関しては、『レーニン批判の時代』(勁草書房)に詳しい(203-204P)。

新しい歴史教科書をつくる会や武士道イデオロギーの安易な吹聴など、昨今の反動的な大衆思想運動を理解する上でも、エリック・ホッファーの『大衆運動』(紀伊國屋書店)などと併せて読まれたい一冊。

新興宗教に関する科学的研究は、従来もっぱら教理の批判に集中し、大衆思想運動という観点からの分析が欠けていた。著者は、国民の約一割に及ぶ信者数を持つさまざまな教団の教理や運動形態を明らかにし、戦前戦後の主要な大衆思想運動の中での位置づけを試みる。その中から読者は、新興宗教が思想としては低俗で政治的には反動でありながら、一面、運動として広範な大衆をとらえていることの本質を学ぶであろう。
(帯紹介文より)

……新興宗教が思想として低俗で後進的であり、政治的に反動的であるという理由から、その大衆思想運動全体にまで否定的な評価を下すことは誤りである。……新興宗教は、大衆が思想を深く身につけて、その実力を発揮できるような組織上の条件が与えられた場合に、いかにすぐれた創意を示し、巨大なエネルギーを結集するかを実証するものである。われわれはこの大衆の創意を信頼し、大衆が自らを解放するということを信じ、大衆から学びながら、これを平和と独立の日本をきずく方向に向けるように協力しなければならないのである。……
(まえがきより)



まえがき

 I 日本人の宗教生活
   なぜ宗教生活を検討するのか     苦しいときの神だのみ
   宗教の生活への浸透         新興宗教の後進性と反動性
   重層信仰(シンクレティズム)

 II 明治以後の大衆思想運動
  1 戦前における大衆思想教育
   絶対主義天皇制の確立        「私設文部省」
   思想政策の展開           軍歌および唱歌
   キリスト教と自由民権運動      左翼陣営の文化運動
   軍人勅諭の論理           上からの運動と下からの運動
   教育勅語と勅語奉答歌
  2 戦前の新興宗教
   なぜ新興宗教は弾圧されたか     昭和時代の大本教・ひとのみち教団
   庶民の育てた天理教
   金光教および丸山教の歩んだ道    谷口哲学の魅力――生長の家

 III 戦後の大衆思想運動
  1 革新陣営の大衆教育運動
   戦後における思想的虚脱       歌ごえ運動と生活綴り方運動
   主体性論争の発生          人生記録雑誌の誕生
   主体性論をめぐる唯物論陣営内の対立 サークル運動と営利雑誌との矛盾
   民主主義科学者協会の活動      労働者教育協会および国民文化会議
   左翼ジャーナリズムのたどった道   平和運動
   サークル運動理論の変質       政治運動と大衆思想運動との遊離
  2 戦後の新興宗教
   戦後における転換          民族主義の擡頭
   群小教団の濫立           戦前の創価学会
   多くの分派を育てた霊友会      戦後の創価学会
   「薬毒論」を特徴とする世界救世教  戦前の大日本立正交成会
   戦前の立正交成会          道徳科学研究所と倫理研究所

 IV 新興宗教の運動形態
  1 組織形成の諸条件
   新興宗教の運動に法則性は存在するか 政党と既成宗教の条件
   さきゆき不安の時代         人生の案内役としての条件
   教団の雌伏期と発展期        宗教心と科学の方法の条件
   信者になる個人的条件        新教団形成の条件
   家・部落・職場の条件
  2 大衆思想運動としての展開
   教団の質的発展における諸段階    人気稼業と新興宗教
   科学の発展にともなう教理上の制約  布教師から独立へ
   教理が絶対化する傾向        布教活動の展開
   信者になるまで           信仰は模範を生む
   詭弁の論理             信者と教祖との遊離
  3 完成の段階における教理
   教理の唯物論化―創価学会の場合   教理の唯物論化―生長の家の場合
   教理の唯物論化―立正交成会の場合  教理の体系化
   教理における科学の位置づけ     体系化にともなう矛盾の激化
  4 完成の段階における組織
   非民主的主義的な形態        幹部の養成
   末端の組織および指導        指導の分化
   大衆集会と行事           組織における合理化の傾向

 V 新興宗教の提起している諸問題
  1 新興宗教はどんな人間を創りだすか
   社会科学への反撥          価値判断の転倒
   客体の論理の主体の側へのすりかえ
  2 思想面における革新陣営との比較
   理論の絶対化            反宗教闘争の不徹底
   生活規範の欠如           大衆教育運動の大衆からの遊離
   宗教的因果論への転落        指導論・組織論の混迷
  3 組織面における革新陣営との比較
   民主主義形態をとった非民主主義組織 大衆集会と行事
                     幹部の養成
   末端の組織と指導          指導の分化
   組織における無政府状態

 VI 若干の結論
   大衆思想運動としての生産性向上運動 革命における模範
   生産性向上運動の教理および組織   新興宗教についての今後の見通し
   中国革命と生活規律         原水爆によるさきゆき不安の時代

参考文献

※投稿に当たり、機種依存文字を一部改めた。
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2005年10月30日

シュテーリヒ/西洋科学史 V:目次

西洋科学史5『西洋科学史』(全5分冊)の第五巻(最終巻)。副題は「歴史と人間・ドイツ歴史学派の興隆と精神分析学」。









第一二章 精神と歴史―― 一九世紀の精神科学
一 ヘーゲルと歴史
 a 精神の力
 b 世界過程とその序階
 c 精神の自己展開としての歴史――弁証法の原理
 d 歴史の担い手としての世界史的民族
 e 超個人的な力
二 ヘーゲルの精神科学
三 歴史学派の統一
 a 文献批判
 b 歴史の理解
 c 民族精神
 d ヘーゲルと歴史学派
 I 歴 史
  一 ニーブール
  二 ランケ
   a 弁証法
   b 歴史主義
   c 方法論の特徴
   d ラテン・ゲルマン民族
   e 客観性
   f 静寂主義
  三 ドロイゼン
  四 モムゼン
  五 一九世紀の歴史学に反映した当代の二大事件
   a フランス革命
   b 民族運動
  六 文化史
   a ブルクハルト
   b ランプレヒト
  七 普遍的意義における歴史
   a ショーペンハウアーとニーチェ
   b 歴史主義
 II 法律
  一 序幕――フーゴーとティボー
  二 歴史法学派の創設者としてのサヴィニー
   a いかにして法は成立するか
   b 立法と法律学にかんする結論
  三 他の学派の展開の概観
   a 他の諸科学への反映
   b ローマ法学者とゲルマン法学者
   c ローマ法学者――プフタ、ヴィントシャイト
   d ゲルマン法学者――アイヒルホン、ヤーコプ・グリム
  四 イェーリングと実証主義への傾向
   a キルヒマンの攻撃
   b イェーリングの出発点――ゲルバー
   c イェーリングの転向
  五 オットー・フォン・ギールケと民法法典
   a 法典編さんへの道
   b ギールケの批判
   c 展 望
 III 経 済
  一 古典学派への最初の運動――初期の社会主義とリスト
   a シスモンディ
   b サン・シモンとその学派
   c オーエン、フリエ〔フーリエ〕、ブラン
   d プルドン〔プルードン〕
   e フリードリヒ・リストと国民経済学説
  二 古典理論の補訂――その極地と転機
   a ドイツ――テューネン
   b フランス――バスティア
   c イギリス――ミル
  三 世紀後半の逆流――歴史学派と後期の社会主義
   a 国民経済学派における歴史学派
   b 国家社会主義と講壇社会主義
   c マルクス主義
  四 限界効用学派――理論改新の一例
   a 限界効用学派の代表者たち――方法論論争
   b 限界効用学派の基本思想
   c 数理学派
 IV 社会学
  一 コントと実証主義
   a 社会学という名――その本質、主要分野、諸科学中の位置
   b 三段階法則と社会の進歩
   c 実証主義哲学。宗教としての実証主義。科学原理としての実証主義
   d コント以後のフランス社会学について
  二 スペンサーと進化思想
   a 進化思想
   b 有機体としての社会
   c 国家と個人
   d ホブハウス
  三 一九世紀のドイツ社会学
   a 開拓者
   b テンニエス〔テンニース〕
   c ジンメル
  四 一九世紀のアメリカ社会学者
   a モーガン、サムナー
   b ウォード
   c スモール、ギッティングス
 V 言 語
  一 古典文献学
   a F.A.ヴォルフ
   b ベック
   c 原典批判――ヘルマン、ベッカー、ラハマン
   d ヴィラモーヴィッツ
  二 比較言語学の成立
   a サンスクリット語――フリードリヒ・シュレーゲル
   b ラスク
   c グリム
   d ボップ
   e ヴィルヘルム・フォン・フンボルト
   f シュライハー
 VI 心理学
  一 回顧
  二 ヘルバルト
  三 生理学的基礎に立つ実験心理学の発端
   a ヴェーバー
   b フェヒナー
   c ロッツェ
   d へーリング
  四 ヴント
  五 エビングハウス
  六 ブレンターノとシュトゥンプ
  七 キュルベとヴュルツブルク学派
  八 ウィリアム・ジェームズ
   a アメリカの舞台――人と著作
   b 意識と流れ
   c ジェームズ = ランゲの説
   d 宗教的経験
   e 教師としてのジェームズ
  九 精神病学の瞥見
  一〇 二つの新理論の展望
   a 行動主義心理学
   b ゲシュタルト心理学
  一一 深層心理学の展望
   a アンナ・Oの症例
   b 分析的方法
   c 性 欲
   d 失錯と夢
   e 無意識――抑圧と抗争
   f 補説――思想的系譜
   g 影響と応用
   h 精神分析の運動
  一二 二、三の応用と成果にかんする展望

結 び


参考文献
 1 自然科学史一般
 2 辞典・年表
 3 数 学
 4 物理学
 5 天文学・地学
 6 化 学
 7 生物学
 8 医 学
 9 精神科学
解説――二〇世紀の生物学を中心に
総索引
 文献索引<自然科学編>
 文献索引<精神科学編>
 人名索引

(注)付録の参考文献と総索引の小見出しは、参考までに私が付したもの。なお、五巻の付録の内容は、四巻までに付されている総目次のものとは若干内容が異なる。

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シュテーリヒ/西洋科学史 IV:目次

西洋科学史4『西洋科学史』(全5分冊)の第四巻。副題は「科学の大転回・物理学的世界像の形成と進化思想」。









ところが一九世紀、完結した一世紀としては最後のものであるこの世紀を考察してみると、内容の特徴をすこしでも伝えてくれるような見出しをつけることは、それまでのどの世紀よりも困難になる。……この世紀は、たとえば政治的にみると、高まっていく民族主義とともに排外的愛国主義や帝国主義が見さかいなく成長した時代であるが、別の面からみると、多くの分野で偉大な国際協力がなされた時代ではなかったろうか。恥ずべき社会的抑圧と搾取の時代である一方、独特の社会的進歩がもたらされた、つまり幸福と力を求めて民衆がかつてなかったほど力強く立上った時代ではなかったか。文化、知識、教育がこれまでになく普及した反面、さらに深くみれば浅薄なものになったのではなかったか。理性と進歩に対する一八世紀のいくたの夢と理想が輝かしく実現した反面、まさにこの理想を窒息させようとおびやかした非合理的な反対勢力も、同時にもりあがったのではなかったか。一九世紀は移行と変革の時代、境界や基準の抹殺の時代だった。しかし、私たち自身の時代の混迷(カオス)と比べれば、まだしも堅固な軌道にのり、よく秩序だてられた世界だったのである。(第一一章・序文、強調は原文)



第一一章 進化―― 一九世紀の自然科学
〔序文〕
一 ロマン主義
 a 時代の姿と意識は変転する世界をさし示す
 b 一八世紀の理性思想への抗議としてのロマン主義
 c 静的な啓蒙思想を克服するものとしてのロマン主義
 d 前進する世界、前進する思想、進歩の思想
 e 変化の中の科学と変化についての科学
 f ロマン主義の遺産
二 その他、二、三の一般的特徴
 a 連続性と原子論
 b 応用科学の時代が始まる
 c 科学の組織
 d 一九世紀の偉大さと富
 I 数学
  一 非ユークリッド幾何学
  二 カルル〔カール〕・フリードリヒ・ガウス
  三 数
  四 集 合
  五 方程式
  六 関 数
  七 空 間
  八 不変量
  九 数学史
  一〇 数学と論理学
 II 天文学
  一 惑星系における新発見
   a セレス
   b 海王星
  二 分光器
   a フラウンホーファー
   b ブンゼンとキルヒホフ
   c 天文学上の意義
  三 研究の手段としての写真術
  四 宇宙の構造
   a 星の在庫目録
   b 重要な二、三の測定
   c 星の分類
   d 宇宙像
 III 物理学
  一 熱理論と一般エネルギー論
   a エネルギーの保存
   b マイアー、コルディング、ジュール、ヘルムホルツ
   c エントロピー
  二 気体分子運動論
  三 光と電気
   a 光の波動説の勝利――ヤングとフレネル
   b 電気学の主要進路――ファラデーが登場するまで
   c ファラデー
   d マクスウェル〔マックスウェル〕
   e マクスウェル理論の完備と確証
  四 二、三の応用について
   a 蒸気力と運輸
   b 電力と電灯
   c 電気の通信手段
   e 内燃機関、自動車
 IV 化学
  一 原子と分子
   a プルーストの法則
   b ゲー・リュサックの研究
   c ドールトン〔ドルトン〕の理論
   d アヴォガードロ〔アヴォガドロ〕の規則
   e 経験上の前進
  二 周期系における元素の秩序
   a プラウトの仮説
   b マイアーとメンデレーエフ
  三 物理化学
   a 化学平衡
   b 触 媒
   c 電気分解
  四 有機化学の誕生
   a 有機分析――リービヒ〔リービッヒ〕
   b 有機合成――ヴェーラー
  五 ケークレ
   a 原子価
   b 原子鎖
   c ベンゼン環
   d 構 造
  六 パストゥール〔パスツール〕、ファント・ホフ、ル・ベル
  七 応用と成果
   a 染 料
   b 医 薬
   c 爆 薬
   d 栄 養
   e 新物質
 V 地 球
  一 アレクサンダー・フォン・フンボルト
  二 ライエル
  三 リッターとラッツェル
  四 発見の新時代
   a バルト
   b ナハティガル
   c リヴィングストン〔リビングストン〕とスタンリ
   d 極地探検
   e アジア
 VI 生 命
  一 発生学
  二 細 胞
  三 生理学
  四 進化――ダーウィン
   a 種の起源
   b 人類の由来
   c 意義と影響
  五 ダーウィン思想の普及と採用
  六 遺 伝
   a ヴァイスマン
   b メンデル
   c モーガン
   d 遺伝学の意義について
  七 機械論と生気論
 VII 医 学
  一 診療上の新利器
  二 苦痛の征服
  三 微生物の狩人たち
   a パストゥール
   b コッホ
   c ルーとベーリング
   d エールリヒ
  四 消毒と殺菌
   a ゼンメルヴァイスとホームズ
   b リスターとベルクマ
   c しろうと医師――自然療法
   d 概観――科学的衛生学
 VIII 物理学の革命
  一 エックス線
  二 放射能
  三 電 子
  四 原子崩壊としての放射能
  五 量子論
  六 特殊相対性理論
   a マイケルソン = モーリの実験
   b 古典的相対性理論とアインシュタインの相対性理論
   c この原理からの二、三の結論
   d 相対性理論の未来


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シュテーリヒ/西洋科学史 III:目次

西洋科学史3『西洋科学史』(全5分冊)の第三巻。副題は「理性の時代・数学的世界像の形成と啓蒙主義」。









一七世紀には、新しい数学的・力学的認識理想が的確に定式づけられ、それが知識の全分野に徐々に広がっていった。一八世紀は“自然と理性”というモットーのもとに考察できる。もちろんこれらの概念はほかならぬ一八世紀がそれに与えてくれた一回かぎりのニュアンスと状況をふまえた上で捉えねばならない。一九世紀には、一八世紀にもすでに準備されていた進化思想が、生物化学と精神諸科学で爆発した。(第九章・序文)

ところが〔数学の意義を認めなかったフランシス・ベーコンに対し〕一六、一七世紀の人たちは、まさにこの数学を、実験より重要だと思っていたとさえいってよいほどであった。ガリレオの次の言葉を聞こう。

無知こそ、私がこれまでに身につけたものの中で最上の教師だった。というのは、自己の推論が真であることを反対者に実証してみせる立場に立つために、それを一連の実験によって証明するよう強いられたからである。私自身を満足させるために、たくさんの実験をやることが不可欠と感じたことなど、一度もなかったのにもかかわらずである。

ガリレオのこの言葉から、実験は本来真理を発見するためというより、むしろ示してみせ、証明するために必要なのだ、という確信が読みとれる。この考えからすれば、正しい方法で武装してさえいれば実験などしなくても自然の諸法則は発見できるはずだ、ということになる。これは、新しい認識理想のきわ立った特徴であった。自然を数学的に解釈せねばならないという確信を、研究者は、実験によって初めて教えられたとか、強いられたのではなかった。この確信――信仰ともいえそうだが――がすでに、実験することの前提となっていたのである!(第九章・一 新しい認識理想)

一八世紀の思想の標語として“自然”と“理性”をもちだすのは、何も新しいことではない。だが、これらの概念があいまいでいろいろな意味をもつことを考えると、一八世紀がこの語をどんな意味に理解していたかをもう少しくわしく見なければなるまい。…

たとえば今日、石は“自然物”であるというとき、“自然”という概念の第一の意味は“生きていないもの、あるいは人間の外にあるもの”の世界ということになるが、このような現代流の理解は許されない。まさにその逆であり、一八世紀の自然概念の特徴は生物どころか人間まで、肉体と精神の両面をあわせ包括してしまう点にある。(第一〇章・一 自 然、以上、強調は原文、斜体は原文中の引用文)


第九章 普遍数学―― 一七世紀の科学
〔序文〕
一 新しい認識理想
二 新しい認識問題
 I 数学
  一 射影幾何学と解析幾何学――フェルマ、パスカル、デザルク、デカルト
  二 無限小解析(微積分方)
   a 準 備
   b ニュートン
 II 天文学
  一 観察と計測の天文学
  二 レーマーが光速度を測る
  三 デカルトの渦動説
 III 物理学と化学
  一 万有引力――ニュートン
   a ニュートンの生涯と仕事
   b 『プリンキピア』
   c 評価と批判
  二 光学
   a ケプラー、スネル、デカルト、グリマルディ
   b ニュートン
   c ホイヘンス
  三 ガス
   a トリチェリとパスカル
   b オットー・フォン・ゲーリケ
   c ボイル
  四 物質の構造
  五 ボイル――科学的化学の初め
 IV 生物学=顕微鏡家たち
  一 フック
  二 レーウェンフック
  三 スヴァンメルダム
  四 マルピーギ
 V 医学
  一 イアトロ物理学とイアトロ化学
  二 ハーヴィ〔ハーヴェイ〕
  三 シデナム
  四 医者の地位
 VI 地理学
  一 発 見
  二 地理学理論
 VII 精神諸科学
  一 人間の科学という理想
   a ホッブズ
   b ロック
  二 歴史記述
   a フランス
   b ライプニツ〔ライプニッツ〕とムラトーリ
  三 法 学
   a 自然法の理念
   b オルデンドルプ、アルトゥスジウス
   c グロティウス
   d コーンリング、プーフェンドルフ、トマジウス

第一〇章 自然と理性―― 一八世紀の科学
一 自 然
二 自然的なものと理性的なものとの同一性
三 宗教・道徳・社会を批判する武器としての自然的なものと理性的なもの
四 宗教上の合理主義
五 倫理的合理主義
六 合理主義に対抗するもの
七 大百科全書
八 メートル法
 I 数学と力学
  一 ベルヌイ家
  二 オイラー、ダランベール、ラグランジュ
  三 モアヴル、ラプラス
 II 天文学
  一 ハリ
  二 ブラッドリ
  三 ハーシェル
  四 カント
  五 ラプラス
 III 物理学
  一 熱学説
   a 熱概念の説明
   b 温度測定
   c 熱の正体――ランフォード
  二 蒸気機関
   a パパン、ニューコメン
   b ウォット(ワット)
   c 工業化の発端
  三 電気
   a 最初の発見
   b フランクリン
   c エピヌス、プリーストリ、キャヴェンディシュ、クーロン
   d ガルヴァーニ
   e ヴォルタ〔ボルタ〕
 IV 化学
  一 シュタールとフロギストン説
  二 ブラック、キャヴェンディシュ、プリーストリ
  三 ペリマンとシェーレ
  四 ラヴォアジェ
   a 生涯と業績
   b 燃焼理論
   c 水の組成
   d 質量の保存
   e 元 素
  五 元素記号
 V 地質学
  一 岩石と山脈
   a ヴェルナー
   b ハットン
  二 化石
   a キュヴィエ
   b ラマルク
 VI 生物学
  一 リンネ
  二 生理学
  三 進化思想の開拓の後継者
   a ビュフォン
   b エラズマズ・ダーウィン
   c ゲーテ
 VII 医学
  一 病理解剖学――モルガーニ
  二 生理学――ハラー
  三 組織学――ビシャ
  四 特殊療法――メスマー、ハーネマン
  五 種痘――ジェンナー
  六 一八世紀の衛生状態
 VIII 地理学
  一 発 見
  二 地理学理論
 IX 歴史
  一 歴史世界の固有法則性と豊かさ――ヴィーコとモンテスキュー
  二 啓蒙主義歴史家の典型――ヴォルテール
  三 進歩の思想――レッシング、コンドルセ
  四 古代史と学術史――ヴィンケンマン
  五 深まった歴史意識と思想史
   a メーザー
   b ヘルダー
 X 法律・政治・経済
  一 ルソー
  二 ベンサム
  三 国家経済学の基礎づけ
   a 簡単な史的回顧
   b 重商主義
   c 重農主義者たち
   d アダム・スミス
   e マルサス
   f リカード


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2005年10月28日

シュテーリヒ/西洋科学史 II:目次

西洋科学史2『西洋科学史』(全5分冊)の第二巻。副題は「保存と復興・中世の秋とルネサンス」。









この時代(中世)は“暗黒”であり、相対的に重要でない、と片づけられてしまっていることも多い。また、これよりましであるにしても、多くの分野であげられた科学的収穫はちらほらと散在する“木洩れ陽”であるとされることも少なくない。これはとんでもないことである。むしろ私たちは、つとめてこの時代が占めている中心的位置と重要な機能とを理解しなくてはならない。この時代の初期には、新文化の基盤が、何世紀間にもわたって発展しつつ作られていった。第二期には、地中海世界に保たれていた科学的伝統が…この新文化区域に流れ込んだ。(第七章・一 科学史上の中世の位置)

科学史にとってこの時期(ルネサンス)は、完全に新しい時代への序曲である。知識や探求のどの分野でもほとんど軒なみに、新しい活動が生じてくる。それ以後の数世紀にいっそうはば広く実行に移され成就されていくべき題目が、ほとんど全部一通りでそろった。この時代の科学的活動と発見は、その後の科学の発展全体に勢いと方向とを与えた。(第八章・序文)


第七章 保存と潜在――西欧中世の科学
一 科学史上の中世の位置
二 阻害する力
三 保護と促進の力
四 イスラム世界との接触、反訳時代
五 大学の開花
六 中世の認識理想
 I 数学と天文学
  一 西欧数学の誕生――ピサのレオナルドとヨルダヌス
  二 オレスメのニコラウス
 II 物理学と化学
  一 ヨルダヌス
  二 ベトルス・ペレグリヌス
  三 ロージャ・ベーコン〔ロジャー・ベーコン〕
   a 生涯と活動
   b 『大著作』
   c 評 価
  四 化学
 III 生物学
  一 生物学一般、自然学者と動物寓話、ビンゲンのヒルデガルト
  二 フリードリヒII世
  三 アルベルトゥス・マグヌス
  四 メーゲンベルクのコンラート
 IV 地理学
  一 巡礼と十字軍
  二 ノルマン人、最初のアメリカ発見
  三 ジェノヴァ人とヴェネツィア人の発見、マルコ・ポーロ
  四 地 図
 V 医学
  一 サレルノの学校
  二 ヴィルヌーヴのアルノー、ロージャ・ベーコン〔ロジャー・ベーコン〕
  三 解剖学――モンディノ・デ・ルッチ
  四 流行病と公衆衛生事情
 VI 精神諸科学
  一 キリスト教的歴史観
  二 教会史、年代記
  三 反訳家と文法家、百科全書家
  四 人文主義(ヒューマニズム)の起源
   a ダンテ
   b ペトラルカ
   c ボッカッチョ〔ボッカチオ〕、サルタノ・コルッチョ
  五 法律学
   a ボローニャの法律学校、註解者たち
   b バルトルスとパルドゥス
   c ジョヴァンニ・デ・レニャーノ

第八章 大復興――近代科学の開始
〔序文〕
一 宗教的および哲学的背景
二 ルネサンスと宗教改革
三 印刷と書物
四 新精神の具現としてのレオナルド・ダ・ヴィンチ
五 新しい道の告知者――フランシス・ベーコン
 a 人と著作
 b 『新オルガノン』〔『ノヴム・オルガヌム』〕
 c 批判と評価
 I 数学
  一 タルターリャとカルダーノ
  二 ヴィエータ
  三 ネーピアとビュルギ
 II 天文学――新しい宇宙
  一 クサヌス、プールハバ、レギオモンタヌス
  二 コペルニクス
  三 ティコ・ブラーエ
  四 ケプラー
  五 ガリレオ
  六 ブルーノ
  七 グレゴリウスの歴制改正
 III 物理学と化学
  一 ギルバート
  二 ステヴィン
  三 ガリレオ
   a 落体の法則
   b 他の物理学的活動
   c ガリレオの方法、評価
 IV 地理学――発見時代
  一 エンリケ航海王
  二 コロンブス
  三 その後のアメリカ発見
  四 東インドへの航路
  五 マガリャエンシュ(マゼラン)による最初の世界一周
  六 アジアの幕開き
  七 発見の結果
  八 メルカトル
 V 生物学と医学
  一 植物学と動物学
  二 パラケルスス
  三 ヴェサリウス
  四 パ レ
  五 サンクトリウス
 VI 精神諸科学
  一 イタリアの人文主義
   a クリェソロラス、ブルーニ、プレトン
   b ポッジョ、ピオンド、シルヴィウス
   c ヴァラ・フィチーノ
  二 アルプス以北の人文主義
   a ロイヒリン
   b エラスムス
   c メランヒトン
  三 歴史記述
   a イタリア――マキァヴェリとグィッチャルディーニ
   b ドイツ
   c フランス――コミース、ボダン
  四 法律学――ローマ法の継受


(注)〔〕内の語句は参考までに私が付したもの。ただし「ロージャ・ベーコン」の表記は、一般的な表記と思われる「ロジャー・ベーコン」の誤植か、訳者の意図によるものか不明。

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2005年10月26日

シュテーリヒ/西洋科学史I:目次


西洋科学史・Iシュテーリヒ(ハンス・ヨアヒム・シュテーリヒ(1915−))が1954年(昭和29年)に著した主著の一つ『西洋科学史』(原題:Kleine Weltgeschichte der Wissenschaft)の現代教養文庫版(全5分冊)。1958年(昭和33年)に出版された商工出版社版(全3分冊)の再刊(改訂版)である。訳は菅井準一・長野敬・佐藤満彦の各氏による共訳。

「再版訳者まえがき」によると、著書のシュテーリヒは「1915年、ドイツのケンシュテット=ハルツの生まれである。1948年に結婚して、2児がある。フライブルグ・コローニュ、ベルリンなどの諸大学に学び、哲学および法学の学位を得ている。主著は本書(初版1954、改定3版1965)のほか、“Kleine Weltgeschichte der Philosophie”(草薙正夫他訳『世界の思想史』白水社、全2巻)があり、原著は1970年までに11版を重ねている。(略)現在はミュンヘンに住み、著作と、百科全書の編集にたずさわっている」とある。ただしこれは1975年4月現在での情報なので、もし存命ならば今年で90歳のはずであるが、情報不足のため判然としない。

カバーの説明文のとおり、本書は単なる自然科学史にとどまらず、精神科学(注)をも含め、両者を統一した叙述を試みているところに最大の特徴がある。大学の学部生が一般教養として科学史を学ぶのに、まさに打ってつけの内容……なのだが、最大の問題は「本書の入手が極めて難しい」ことにある(これは寄筆一元氏のブログでも言及されていたことだが)。原著(ドイツ語版)は現在でも手に入るようだが、現代教養文庫版以後、日本語版は訳出されていない。ドイツ語が読める方は原著に当たるという方法もあるが、それ以外の人は古本で買うか図書館で読むなどの方法しかない。ちなみに私は、3巻と4巻が余分にあるのを除いては、1セットしか所有していない。絶版にしておくにはあまりにも惜しい内容であり、復刊か新訳を強く望む書籍の一つである。

(注)ここでは認識論など人間の精神活動に関する科学ではなく、「人文科学と社会科学の総称」として用いている。

<科学>を<自然科学>のみに限定せず、<社会科学><人文科学>へも押し拡げて、その生誕と形成の過程を、思想史的・精神史的にも実証しようとする本書は、<科学>の持つ"“混沌(カオス)”のイメージに人々を誘なう。これにより、諸科学相互の連関が、時間・空間のなかで立体的に俯瞰(ふかん)できよう。
(カバー見返し部・紹介文)

弁証法という用語は、ギリシア語のdialektikeに起源を持ち、対話という意味である。古来、ギリシアの哲人たちのめざしたものは、物事に絶対的基準を求めることなく、対話によって永遠に把握不可能な真理へと自らを誘うことにあった。だから、真理とは永劫に解きえない“アキレウスの亀”であり、事物は相対的な真理しか持ちえない。今存在していることも相対的でしかありえない。哲人たちは、陽光ふりそそぐリュケイオンの学園で、あるいはパルテノンの神殿で、把握不可能なイデアの王国へ至る道をさぐっていたのである。(カヴァー説明)

訳者のことば(初版)
再版訳者まえがき
凡例

第一章 科学史の意義
 一 問題
 二 過去への一瞥
 三 今日の世界
 四 主題の最初の区分

第二章 基本概念――方法序論
 I 科学史の方式と観点
  一 素材の歴史と問題の歴史
  二 科学の超国家性
  三 科学の超個人性
  四 科学の未完成性
  五 科学の未統一性
 II 文化全体のなかの科学
  一 科学と社会
  二 科学と宗教
  三 科学と芸術
  四 科学と技術
  五 科学と哲学
  六 秘められた歴史
 III 私たちの記述の様式と方法
  一 ディレッタンティズム
  二 史的思考

第三章 予備条件、発端、あけぼの――史的序章
 I 科学成立の一般的予備条件
  一 自然の予備条件
  二 社会の予備条件
  三 精神的予備条件
  四 総 括
 II ギリシア以前の科学、科学的思考の前ぶれと発端
  一 エジプト
  二 バビロニア
  三 インド
  四 中 国
  五 イスラエル
  六 東方を継ぐ者(総括)

第四章 ギリシア科学の誕生
  一 おもな時代区分
  二 国土・民族・環境
  三 母体としての哲学
  四 哲学、数学、自然科学
 I 数学
  一 タレスとアナクシマンドロス
  二 ピタゴラスと彼の学派
  三 幾何学の“三問題”
  四 プラトンと数学
  五 エウドクソス
  六 メナイクモス
 II 天文学
  一 最古の観念
  二 アナクサゴラス
  三 プラトン
  四 アリストテレス
  五 エウドクソス
  六 ヘラクレイデス
 III 物理学(自然哲学)
  一 普遍的自然法則の理念
  二 ギリシアの自然思想の諸概念
  三 実験の始まり
 IV 生物学
  一 アリストテレス――動物学の父
  二 テオプラストス――植物学の父
 V  ヒポクラテス――医学の父
 VI 歴史記述の父祖たち 
  一 ホメロスとヘシオドス
  二 ヘロドトス
  三 トゥキュディデス

第五章 最初の継承者――ヘレニズムの科学とローマの寄与
  一 時 代
  二 科学の中心地アレクサンドリア
  三 ヘレニズム科学の特質
  四 ローマ人と科学
 I 数 学
  一 ユークリッド(エウクレイデス)
  二 アルキメデス
  三 アレクサンドリアの他の数学者
 II 天文学
  一 アリスタルコス、古代のコペルニクス
  二 ヒッパルコス
  三 プトレマイオス
 III 他の自然科学
  一 光 学
  二 アレクサンドリアのヘロン
  三 錬金術
  四 プリニウス『自然学』
 IV 地理学
  一 フェニキア人とカルタゴ人
  二 地理学の祖たち
  三 ピュテアス
  四 エラストテネス
  五 プトレマイオス
  六 ローマ時代の地理学
 V 医学 
 一 ヘロフィロス
 二 エラシストラトス
 三 ガレノス
 四 古代医学の意義
 VI 精神諸科学
  一 歴史記述
  二 言語学
  三 法律科学

第六章 もう一つの遺産――イスラムの科学
  一 東と西
  二 イスラムの興隆
  三 遺産の同化
  四 二つの中心地
  五 イスラムの宗教と異教哲学
 I 数学
  一 アル=フワーリズミー
  二 ウマル・ハイヤーム
 II 天文学
  一 アル・バッターニー
  二 天文機械
 III物理学と化学
  一 光 学
  二 錬金術
 IV  生物学と医学
  一 植物学
  二 東方の医学:ラーゼスとアヴィケンナ
  三 イスラム東方の医学:アブルカシス、アヴェンゾアル、アヴェロエス
 V 地理学
  一 地理学的視界
  二 大旅行家たち:スライマーン、アル・マスウーディ、アル・イドリースィー、イブン・バットゥータ
  三 地理学、数理地理学、地図
 VI 精神諸科学
  一 歴史記述 
  二 言語学者と百科全書派


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2005年10月07日

ホッファー/大衆運動:目次


大衆運動「沖仲士(港湾労働者)の哲学者」として知られるエリック・ホッファー(1902-1983)の主著。1961(昭和36)年に高根正昭氏(1931-1981)によって訳出され、当初は『大衆』という題名で紀伊国屋書店より出版されたが、1969(昭和44)年に現在の題名に改題されて再刊された。私自身は古本で手に入れて読んだが、2003(平成15)年にホッファーの他の著作とともに新装版として紀伊国屋より再刊され、容易に手にすることができるようになったのは喜ばしいことである。1960年代も現代も、混迷の時代という点では共通しているからである。「新しい歴史教科書をつくる会」の反動的な大衆運動や、先の衆議院総選挙で小泉自民党が圧勝したことを見るにつけても、本書の持つ有効性は失われていないどころか、ますます学び取る必要性があるように思われるのである。

「忠実な信者」すなわち「狂信的なキリスト教徒、狂信的な回教徒、狂信的な共産主義者、狂信的なナチス党員の間には、明白な相違があるけれども、それにもかかわらず彼らを動かす狂信が一つのものとみなされ、一つのものとして扱かわれるということには間違いはない」(原著者序文)として、大衆運動の持つ共通性――狂信――を主張するホッファーのことばには、反感を覚える読者もあるかと思う。しかし「無自覚ではあるが弁証法的な考えかたがいたるところで美事に展開されているから、気もちを落ちつけてこれを批判的に学びとることはマルクス主義者の義務といってもいいすぎではない。」(「四つの書評」、三浦つとむ『レーニンから疑え』P198)。小泉圧勝の謎を解く鍵を知る上でも、本書は必読の書といえよう。

この書物は、主として大衆運動の活動的、狂信的段階を取り扱かう。この段階は忠実な信者 the true believer ――神聖な大義のためにみずからの生命を犠牲にする覚悟をしている狂信者――によって支配されるので、彼の来歴を辿り、彼の本質の輪郭を描くための試みが行なわれる。この努力を助けるものとして、一つの作業仮説が利用される。欲求不満を持つ者があらゆる大衆運動の初期の支持者の間で支配的であるという事実、そうしてまた彼らがみずから進んで提携するという事実、これらの事実から出発してつぎのことが主張される。すなわち、(1)欲求不満というものは、外部からの改宗を迫る刺激がまったく存在しなくても、それだけで忠実な信者の特色となるものをほとんどすべて生みだすことが可能であり、(2)また回心を効果的に行なわせる技術の基本的な点は、心が欲求不満におちいった人びとだけが持つ傾向と反応とを、飢えつけ固定することにあるのである。(原著者序文より)


原著者序文

第1部
 大衆運動の魅力

 第1章 変化を求める欲望
 第2章 身代りを求める欲望
 第3章 大衆運動間の交流

第2部 潜在的回心者
 第4章 好ましからざる人びとの社会的役割
 第5章 貧困者
  新貧困者
  極貧者
  自由な貧困者
  創造力をもった貧困者
  統一された貧困者
 第6章 不適応者
 第7章 極端な利己主義者
 第8章 無限の機会に直面している野心家
 第9章 少数派
 第10章 退屈している人
 第11章 罪人
 
第3部 共同行動と自己犠牲
 第12章 序説
 第13章 自己犠牲を促進させる要因
  集合的全体との同一視
  虚構
  現在にたいする非難
  「無きに等しい者」
  教義
  狂信
  大衆運動と軍隊
 第14章 統一の動因
  憎悪
  模倣
  説得と強制
  指導
  活動
  疑惑
  統一の効果
第4部 発端から終焉まで
 第15章 言論人
 第16章 狂信者
 第17章 実際的な活動家
 第18章 大衆運動の良否
  活動的段階における魅力と収穫の欠除
  活動的段階の期間を決定する若干の要因
  有用な大衆運動

訳者あとがき

(注)章見出しの下の見出しは、私が本文から付した。
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2005年09月25日

ディーツゲン/哲学の実果・マルキシズム認識論:目次

『頭脳活動の本質』と並ぶヨゼフ・ディーツゲンの主著『哲学の実果』と、改造文庫の一冊としてディーツゲンの他の著作と同時期に訳出されながら、なぜか三浦つとむでさえ取り上げていない『マルキシズム認識論』。レビューは機会があれば付したいが、今はさしあたり目次のみ参考資料として紹介するにとどめる。

■哲学の実果(1887)(山川均訳、改造文庫)
はしがきによると、改造文庫以前にも同じ訳者によって、『無産階級の哲学』と題して刊行されている(『頭脳活動』との合本、1924)。戦後は玄理社より『哲学は何をしたか』(玄理社)と題して刊行されているが(1948)、これも『無産階級の哲学』と同じく『頭脳活動』との合本である(『弁証法・いかに学ぶべきか』参照)。

はしがき(訳者序文)
著者序文
(一)特殊な対象としての認識
(二)認識の力と宇宙とは血族的につながっている
(三)智力はいかなる意味で、有限にして無限であるか?
(四)自然の普遍性について
(五)霊魂の一部分としての認識の力
(六)意識には一般に知る能力と共に、全自然の普遍性についての意識が賦与せられている
(七)心霊と自然との親族関係、または同一
(八)認識は物質的である
(九)論理学の四法則
(十)宗教の領分における認識の機能
(十一)原因結果の範疇は、認識の一手段である
(十二)精神と物質――どちらが第一次的で、どちらが第二次的か?
(十三)明確な認識の可能に対する疑いが克服せられた範囲
(十四)疑わしい認識と明白な認識との区別に関する議論の続き
(十五)結 論


(注)章番号内の「其」は省略した。


■マルキシズム認識論:一社会主義者の認識論の領域への征入(1886)
(石川準十郎訳、改造文庫、1929)
副題の「一社会主義者の――」が本来の書名である。社会主義者としてはマイナーなディーツゲンの著作の中でもさらにマイナーな著作だが、戦前戦後を通じて訳出されたのは改造文庫だけなのだろうか。本書以外の訳出を寡聞にして私は知らない。ちなみに南恁p正氏は、認識論関連の著作の一つとして、『武道と認識の理論III』(三一書房)などで本書を紹介している。

訳者小言
序 言
一 『造られたる精神は自然の内部に透入せず』
二 絶対真理とその諸自然現象
三 唯物論に対する唯物論
四 ダーウィンとヘーゲル
五 認識の光

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ディーツゲン/人間の頭脳活動の本質:目次

三浦つとむの師の一人、ドイツの労働者哲学者ヨゼフ・ディーツゲンの主著の一つ。「この唯物論的弁証法は、……われわれが発見したばかりでなく、そのほかになお、われわれとは独立に、またヘーゲルとさえ独立に」発見した、とエンゲルスが『フォイエルバッハ論』で紹介しているのも本書である(引用は国民文庫版)。これはマルクスやエンゲルスがヘーゲル批判を媒介にして観念論的弁証法から唯物論的弁証法(唯物弁証法)を展開したのに対し、ディーツゲンはカント主義を直接批判するかたちで唯物弁証法を展開したからであり、良くも悪くもそれが本書の最大の特色をなしている。

戦前は『弁証法的唯物観』という題名で改造文庫より出版され(1929、山川均訳)、戦後も岩波文庫(小松摂郎訳、1952)、未来社(社会科学ゼミナール、森田勉訳、1978)などから出版されている(いずれも絶版)。ちなみに季節社版『弁証法・いかに学ぶべきか』(三浦つとむ文庫(1)、1999)のカバーには、中崎章夫訳で近刊が予告されているが(『一肉体労働者の見たる人間の頭脳労働の本質』)、未刊である。

「ディーツゲンの展開している弁証法は、ヘーゲルのそれのような『巨大な建物』ではなく、その骨組ともいうべきものである。しかしそれは正しい基礎の上に、すなわち唯物論の立場においてとりあげられている。またその骨組が素朴に、端的に、具体的な事物を引合いに出して論じられているところに、弁証法を一面的にとりあげて形而上学におちている人たちのこの著作に学ばなければならない理由がある。」
「唯物弁証法の古典として、わたしはこの著作をすべての研究者が一読されるよう希望する。」(「文献いかに読むべきか」、季節社版『弁証法・いかに学ぶべきか』より)


●岩波文庫版目次
・岩波版には『頭脳活動の本質』のほか、「補説の意味で」(訳者のはしがき)「論理学に関する手紙―特に民主主義的・プロレタリア論理学(1880−1883)」と題した一連の手紙が訳出されている。これは息子のオイゲン・ディーツゲンに宛てられたものである。

訳者のはしがき
人間の頭脳活動の本質
 まえがき
 一 序論
 二 純粋理性あるいは一般的思惟能力
 三 事物の本質
 四 自然的科学における理性の実践
  (a)原因と結果
  (b)精神と物質
  (c)力と質量
 五 「実践理性」あるいは道徳
  (a)賢いもの、理性的なもの
  (b)道徳的正
  (c)神聖なもの

論理学に関する手紙
 第一の手紙
 第二の手紙
 第三の手紙
 第四の手紙
 第五の手紙
 第六の手紙
 第七の手紙
 第八の手紙

訳者註
解 説

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2005年08月06日

こうの史代/『夕凪の街 桜の国』

雑誌の書評を見て気になってはいたのだが、買うのをなんとなくためらっていた。しかし偶然立ち寄った本屋の書棚に本書が置いてあるのを目にし、これは何かの暗合だろうかと思い(そんなふうに考えるのも奇妙なことだが)、手に取ることにした。

本書は文化庁メディア芸術祭大賞を受賞し、一躍有名になった作品である。映画化もされると聞いている。しかし、たとえそのような賞を受賞しなかったとしても、この作品は歴史に残すべきである。それだけの価値は、有ると思うのだ。

本書は「夕凪の街」「桜の国(一)」「桜の国(二)」の三篇から成る。各作品は独立した内容ではあるが、全編を通して読むことで、その全容が明らかになる構成となっている。ここで取り上げるのは、最初の作品「夕凪の街」である。ただ、恐縮ながら、あまりまとまった感想を書けてはいないことをご容赦願いたい。
続きを読む
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2005年08月01日

大塚英志/『憲法力』

先日本屋に立ち寄った際に見つけた一冊。<「国民」である前に「有権者たれ」>と大書された帯のコピーに興味を覚え、買ってみることにした。

「憲法力」とは何か? 大塚氏は言う。

 この本のテーマを一言で言うと「憲法力」ということになります。
 憲法に力と書いて「憲法力」。「体力」や「学力」や「想像力」と同じような意味合いで「憲法力」という造語をあえて最初に掲げてみます。
 今も子供たちの学力低下が叫ばれています。・・・しかし、今われわれに欠けている「力」は何なのかと冷静に考えてみた時に、一番問題になってくるのは、・・・むしろ、ぼくたち大人の側の「憲法力」という有権者としての基本的な能力ではないのかな、という気がするのです。・・・回復すべきなのは計算能力の類ではなく、むしろ社会的な力で、それもぼくたちが憲法下でいかにふるまうか、そのための能力です(第一章 「学力」ではなく「憲法力」)。


自民党の議員や自由主義史観派などによって「憲法改正」(改悪)が叫ばれるようになって久しい(どちらも「自由」を冠しているにもかかわらず、その主張のなかには真逆なものさえ含まれているというのは、何かのブラックユーモアなのだろうか)。柳田国男の論考を参考にしているところなど理論的な部分に異論がないわけではないが、本書の眼目である昨今の憲法改正論議に対する立場や、「憲法力」を取り戻す必要があるという大塚氏の主張には私も支持したいと思う。なにしろ選挙の投票率が50パーセントを下回り、「自分は絶対選挙には行かない」と明言する者さえいるくらいである。もし「選挙に行かないこと=政治的に中立」などと思い込んでいるのだとしたら、それは思い違いだという他はない。「憲法力」は主体性の問題でもある。

柳田国男を取り上げていることからお分かりかもしれないが、大塚氏の専攻は日本民族学である。しかし数年前から「中高生に『自分のことばで』憲法前文を書くことをすすめる『護憲』の方法を提唱」(著者紹介)して実践を続けており、私は未見だがすでに数冊の本を上梓しているらしい。この実践はある意味驚嘆に値するものと思われる。現在の学校教育では、このような実践はおそらくほとんど試みられないだろうからである。

現在の憲法論議になんとなくうさん臭さを感じているがそれを自分では上手く説明できない方、あるいは憲法問題の概要を一通り掴みたい方にも、「考える材料」の一つとして本書は勧められると思う。
posted by liger-one at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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